冬に車へ乗り込んで暖房を入れても、全然暖かくならない。それなのに冷房は普通に効く──。
この状態になると、「エアコンが壊れた?」「走って大丈夫なのか?」「修理代が高額になるのでは…」と、一気に不安になりますよね。
結論から言うと、車の暖房が効かないのに冷房は効く症状は、 すぐに高額修理が必要なケースと、様子見でいいケースがはっきり分かれます。
しかも、その判断は
・特別な工具なし
・5分程度の確認
で、ある程度つけることが可能です。
この記事では、
・今すぐ点検すべき危険な状態なのか
・自分で確認して問題ないケースなのか
・修理が必要な場合、費用はいくらくらいか
を順番どおりに整理して解説します。
「よく分からないから、とりあえず修理に出す」という一番もったいない選択を避けるために、まずは落ち着いて、判断材料を揃えていきましょう。
冷房は効くのに暖房が効かない場合、まず疑うべき原因と判断軸
「エアコンは冷えるのに、暖房だけ出ない」この状態を見ると、どうしても“壊れた”と感じてしまいますよね。
ただし、ここで大事なのは原因探しより先に、「今すぐ点検が必要かどうか」を切り分けることです。
- 水温計が正常位置まで上がっている
- 走行中と停車中で症状に大きな差がない
- 異音・異臭・水温異常が出ていない
この3つをすべて満たしていれば、多くの場合は“すぐに走行不能になるトラブル”ではありません。
逆に、
・水温がなかなか上がらない/上下に振れる
・走行中だけ暖かくならない
・甘い匂い、ガラスの異常な曇りがある
このどれかが当てはまる場合は、冷却系トラブルの可能性が高く、早めの点検が必要です。
冷房と暖房は仕組みがまったく違います。冷房はエアコン機構、暖房はエンジンの熱を使う仕組み。
そのため、「冷える=エアコン正常」「暖まらない=エンジン熱がうまく使えていない」という切り分けができます。
まずは不安にならず、“危険サインが出ているかどうか” を冷静に確認しましょう。
車の暖房が効かないのに冷房は効くときの主な原因【症状から分かる】
原因が分からないままだと、「走って大丈夫なのか」「修理代はいくらかかるのか」不安だけが先に膨らみますよね。
そこでここでは、実際によくある原因を“症状ベース”で整理します。
- 冷却水(クーラント)系トラブル【最多・軽症多め】
- 温度切替(エアミックスドア)不良【次に多い】
- 送風・風量系トラブル【見落とされやすい】
① 冷却水(クーラント)系トラブル
【よくある症状】
・暖房がほぼ効かない
・水温計がなかなか上がらない
・走行中だけ少し暖かくなる
暖房はエンジンの熱を冷却水で運んで使います。そのため、冷却水が不足・劣化していると暖まりません。
▶ 対応目安:冷却水補充・点検で済むことも多く、低コストで解決するケースが多い。
② 温度切替(エアミックスドア)不良
【よくある症状】
・風はしっかり出るのに冷たい
・温度調整を変えても反応しない
これは、暖かい空気と冷たい空気を切り替える部品の不具合です。
▶ 対応目安:部品交換が必要になることが多く、数万円規模になる場合あり。
③ 送風・風量系トラブル
【よくある症状】
・風量が弱い
・風向が切り替わらない
・一部の吹き出し口だけ出ない
風が弱ければ、暖かい空気があっても車内は暖まりません。
▶ 対応目安:フィルター詰まりなど軽症も多く、点検次第で安価に済むことも。

このように、「どんな症状か」で原因はかなり絞れます。
次は、5分でできる具体的なセルフチェックで、あなたの車がどれに近いか確認していきましょう。
今すぐ自分でできるチェック方法【5分で確認】
「修理に出す前に、自分で分かることはないの?」そう思いますよね。
次の手順どおり確認すれば、様子見でいいか/点検した方がいいかがはっきりします。
Step① 水温計の動きを確認
エンジン始動後、10〜15分ほど走行してください。
【正常】
・水温計が中央付近まで上がり、そのまま安定する
【要注意】
・いつまでも低いまま
・走行中に上下に振れる
▶ 要注意の場合:サーモスタットや冷却系トラブルの可能性があるため、点検推奨。
Step② 暖房設定と風の状態を確認
暖房を「最高温度」「風量MAX」に設定します。
【正常】
・風量が強く、時間とともにぬるさ→暖かさに変わる
【要注意】
・風は強いのにずっと冷たい
・温度調整を変えても反応しない
▶ 要注意の場合:温度切替部品の不具合が疑われます。
Step③ 走行中と停車中の違いを見る
信号待ち・走行中で暖かさが変わるか確認します。
【正常】
・走行/停車で大きな差がない
【要注意】
・停車中だけ冷える/走行中だけ少し暖かい
▶ 要注意の場合:冷却水量不足や循環不良の可能性あり。
Step④ 異臭・曇りがないか確認
最後に車内の変化をチェックします。
【危険サイン】
・甘い匂いがする
・フロントガラスが異常に曇る
▶ 該当する場合:ヒーターコア漏れなど重大トラブルの可能性があるため、早急に点検してください。
放置すると危険なサイン|走行OKか、今すぐ点検かの判断基準
暖房が効かないだけなら、すぐに走れなくなるケースは多くありません。
ただし、次のサインがある場合は「いつも通り乗っていい状態」ではありません。
【今すぐ走行を控える】危険サイン
この状態での走行はおすすめできません。
・水温計が急に上がる/警告灯が点灯
・エンジンルームから異音・蒸気が出る
▶ 対応:その場で走行を中止し、点検・ロードサービスを検討してください。
【近日中に点検】要注意サイン
すぐ止まるほどではありませんが、放置は危険です。
・水温が安定しない
・車内で甘い匂いがする
・フロントガラスが異常に曇る
▶ 対応:早め(数日以内)に点検することで、大きな修理を防げる可能性があります。
【注意しつつ様子見】軽度サイン
他に異常がなければ、経過観察でも問題ないケースです。
・暖房だけ効かないが、走行や水温は正常
・異音・異臭がない
▶ 対応:次章のチェック結果を踏まえ、定期点検時に相談でOK。



暖房トラブルは、放置すると“走行不能”につながるものと、そうでないものがあります。
危険度を見極めて、無理のない判断をしてください。
修理が必要かどうかの判断基準と費用目安
暖房トラブルで一番気になるのは、「結局、修理するといくらかかるのか?」ですよね。
ここでは、症状ごとに“修理が必要かどうか”と“費用の目安”を整理します。
修理不要・様子見でいいケース
次に当てはまる場合は、急いで修理する必要はありません。
・水温は正常
・異音・異臭がない
・冷却水が少し減っていただけ
▶ 費用目安:冷却水補充・点検のみ → 0〜5,000円前後
早めの修理を検討したいケース
走行はできるものの、放置すると悪化しやすい状態です。
・暖房がまったく効かない状態が続く
・温度調整が反応しない
・風は出るが冷たいまま
▶ 費用目安:温度切替部品・サーモスタット交換 → 1万〜5万円前後
高額修理になりやすいケース
頻度は低いものの、修理規模が大きくなります。
・車内が甘い匂い
・ガラスが異常に曇る
・冷却水の減りが早い
▶ 費用目安:ヒーターコア交換 → 5万〜10万円以上(車種によってはダッシュボード脱着が必要)
判断のポイント
重要なのは、「症状が固定しているか」「進行しているか」です。
・軽い症状で変化なし → 様子見
・徐々に悪化している → 早めに点検
・危険サインあり → すぐ点検
この切り分けができれば、不要な修理・無駄な出費はほぼ避けられます。
まとめ|暖房が効かないときに、まずやるべき3ステップ
車の暖房が効かないのに冷房は効く場合、慌てて修理を決める必要はありません。
やるべきことは、次の3つだけです。
Step① 今日すぐやること
まずは、この記事で紹介したセルフチェックを実施してください。
・水温計は正常か
・風量・温度設定に異常はないか
・異臭や異常な曇りはないか
これで、危険かどうかの大枠は判断できます。
Step② 数日以内に判断すること
次に、「症状が固定しているか」「悪化していないか」を確認します。
・改善しない/悪化している → 早めに点検
・変化なし/軽症 → 定期点検時に相談
この切り分けができれば、不要な修理を避けつつ、安心して乗れます。
Step③ 迷ったら“相談だけ”でもOK
「判断がつかない」「不安が残る」そんなときは、修理前提でなくても構いません。
症状を伝えて、点検だけお願いするのも立派な選択です。
早めに見てもらうことで、冬本番に「突然暖房が使えない」「走れない」といったトラブルを防げます。
暖房トラブルは、知っていれば冷静に判断できる症状です。焦らず、順番どおり確認して、安心して冬のドライブを迎えてください。




